今後、旅の日記を書くために用意したブログ

今後、旅の日記を書くために用意したブログです。今のところ旅に出る予定は無いので、旅の日記以外のことばかり書いています。

大阪都構想ひとりごと

あと2ヶ月も経てば大阪都構想住民投票の結果は出ていることと思います。物心ついた頃には維新の会が政治をやっていたような気がするし、二重行政時代の大阪府市下で有権者として生活したことがないので、二重行政の重みというか、その存在をリアルに体感してはいないので、実感としてはよく分かりません。しかし、ずっと大阪では二重行政というものが特に顕著に行われていてその解消を望んでいる人々の問題意識があるということは理解できます。そこで、前回、今回と維新が出しているいわゆる都構想のパッケージですが、理念としては理解できます。大阪府大阪市がそれぞれ独自に広域行政をやっていたら無駄が大きいので、大阪市の方の広域行政権限と予算を府に移管して、身近な住民サービスを提供するために大阪市をいくつかの自治体に分割する。理念としては、理解できますし、今は大阪府知事大阪市長が同じような政治的考えを持っているので特に摩擦なく政治が行われているという、いわゆるバーチャル都構想状態であるということも理解できます。そして、未来永劫このような状態が続く訳ではなく、今後また異なる政治的グループがそれぞれトップに立てば元通りになってしまう可能性があるということも理解できます。僕は少し問題があるのではないかと思うのは、2本柱(二重行政の解消、身近な住民サービスの実現)のうちの後者、身近な住民サービスの実現という方の具体的な制度設計のことです。あまり詳しくは知りませんが、報道や記事を見ている感じだと、問題があるような気がします。というのは、大阪市が廃止され4つの特別区が設置された場合には、基本的には4つの特別区が行政事務を行うが、かなり膨大な量の事務をどうやら旧大阪市の区域を担当する一部事務組合というものが行うことになっているらしいからです。これは、4つに分けると効率化されて身近な住民サービスが実現されるという思想とやや相容れない部分があると思います。一部事務組合というものを新たに作って、それが旧大阪市の区域に相当する部分の結構な量の事務を行うというなら、それは旧大阪市の規模で行政事務を行なった方が効率的であるということの何よりの証左だからです。少なくとも僕は現段階ではそう感じています。今後、考えが変わるかもしれませんが。この点(身近な住民サービスの実現)に関しても、理念自体はよく理解できます。ただ、その理念を実現するための具体的な制度案がいささかあまり詰められていない、完全なものあるいは少なくともベターなものではないと感じてしまいます。これは僕が不勉強だからそう感じてしまうのかもしれませんが、その場合でも僕のような人間を減らすために維新の会は何か説明をした方がいいと思います。そこで、以上のような僕の考えを要約すると大体こんな感じかと思います。大阪市の広域行政権限と予算を府に移管していわゆる二重行政を解消するための制度構築には賛成、またより身近な住民サービスを実現するために何らかの制度的変更を考えることには賛成だが、現状住民投票にかけられてもしそれが通った時に実現されるような一部事務組合が大幅に絡むような制度にはやや疑問を持っており、大阪市を一度廃止するとそれを元に戻す方法はどこにも規定が無いらしいので、総合的には反対でもう少し考えて欲しいという感じです。維新は住民サービスは下がらないと言っていますし、公明党も住民サービスが下がらないという約束を維新から取り付けた上で賛成しているらしいので、まあ実際には大阪の選挙区で維新を敵に回すと怖いからという実際的な事情もありそうですが、住民サービスは下がらないのかもしれませんが、最近ポツポツと都構想の制度設計は住民サービスを削って何億円浮かすだとかいうことを前提に書かれているという報道や記事も何個か見ていますので、判断は難しいと思っています。

慶應義塾大学の坂井豊貴先生が、著書『「決め方」の経済学』で書いていたことから少し着想を得て喋ります。現時点で僕のような考えを持っている人がいる場合は、2本柱がパッケージされている投票ではなく、それぞれに賛成・反対の意思表示ができた方がより正確に意思表示ができます。例えば、広域行政権限の移管による二重行政の解消には賛成、大阪市廃止とそれに伴う特別区設置には反対、といった風に。いま本が手元に無いので記憶を辿って書きますが、確か先生は2015年の大阪都構想を分析した上で、そのような投票の方法について考察していたような気がします。2つとも賛成でないと賛成に投票しにくいよりは、片方でも賛成ならそれに関しては賛成票を投じることができた方が、より建設的です。与党や野党(でも維新は国会ではユ党と呼ばれていますが)に関わらず大阪市大阪府の政治家の人はあまり頭が良くないかもしれませんが、政策の中身のことだけではなくて、このような決め方のことにも少しは脳のリソースを割いて欲しいなと思います。まあこれにも政治的な思惑が絡むので難しいのかもしれませんね。